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ギリシアがユーロ離脱するとどうなるの?

ギリシアがユーロ離脱するとどうなるの?

ギリシアの銀行が5日まで営業を停止したのは、お金が無くなるのを防ぐためでした。

6か月で1,000億ユーロ(13.5兆円)が、流出していたのです。

預金が数十%も減れば、銀行の現金は完全に枯渇するからです。

◆ユーロのELA制度(緊急流動性支援)

ユーロの中央銀行ECB(本部はドイツのフランクフルト)は、加盟18か国の銀行に対し、大きな損失や預金引き出しで流動性(現金)が不足したとき、緊急に貸し付ける制度(ELA)を敷いています。

ECBは、ギリシアの銀行に、不足する$150億ユーロ(2兆円)を貸しつけて来ました。

もともと現金が不足しているギリシアの銀行は、預金引き出しに応じることができません。

預金が引き出せないと、世帯は生活ができず、企業は商品販売、仕入れ、給料の支払いができません。

経済活動が停止してしまいます。

クレジットカードも使えなくなります。

銀行預金は、世帯と企業の決済口座になっているからです。

そうなると困るので、ユーロは、ELA制度(緊急流動性支援)で、ギリシアの銀行に、不足するユーロを貸し付けてきました。

このELAが停止したとき、最後の手段は、「政府紙幣の新ドラクマ」の発行です。

「1ユーロ=1新ドラクマ」とする、これが、ギリシアのユーロ離脱です。

「返済不能=デフォルト=ユーロ離脱」ではない。デフォルトは、すでに、事実上決定しています。

企業の場合は、手形と借入れの決済ができないと破産し、その瞬間に、銀行取引停止になって、銀行口座を通じる商取引ができなくなります。これが、事業ができなくなる倒産です。

しかし、国家は、デフォルトの後も、年金、公務員給料支払いという行政は、遅配や削減があっても持続します。

国家の、公共事業が停止するのは、その国の中央銀行から、政府預金を引き出せなくなったときです。

税金は、中央銀行の中の、政府預金になっています。

このため重要なのは、ELAを、ドイツ(メルケル首相)がどうするかです。

現在のところ、ドイツは、ギリシアがデフォルトしてもELA(緊急流動性支援)は継続すると言っています。

つまり、ギリシアの、中央銀行に対しては、貸付を続けるということです。

◆「ユーロ離脱=新ドラクマの発行」の想定

ELA(緊急流動性支援)が停止されたときが、ギリシアのユーロ離脱であり、そのときは、マネーがないというわけにはゆきません。

最後の手段として、政府紙幣(呼称は新ドラクマ)が発行されます。

「1ユーロ=1ドラクマ」として発行された政府紙幣は、短期間で「1ユーロ=3ドラクマ」には暴落するでしょう。

これによって起こるのは以下です。

政府債務
ギリシアの国債残高は、2015年現在3160億ユーロ(43兆円)です。1ユーロ=1ドラクマで交換されると、3,160億ドラクマです。
ドラクマが1/3になると、3,160億ドラクマは、実質では14兆円に下がります。ギリシアの政府債務は、事実上、1/3になったことになります。

対外債務
ギリシアの対外債務は、GDP($1,829:2015年)の2.5倍あり、$4,572億(55兆円)です。ECB、IMF、海外、EFSC(欧州安定化機構)からから借りています。日本の銀行も、金額は少ないですが、貸し付けがあるようです。
この債務は多くがユーロ建てや米ドル建てです。ユーロ建てやドル建ての債務を、ドラクマ建てにすることに、債権者団が応じるかどうか? 応じれば、その後の、確実なドラクマの1/3の低下により、債務の実質額は1/3(18兆円相当)に減額されることになります。
債権者団が、これに応じるかどうか、不明です。応じなければ、対外債務は減りません。

預金額
2008年からの引き出しで大きく減った世帯や企業の預金は、2015年時点の大手銀行分で1,500億ユーロ(20兆円)残っています。
ユーロからドラクマに切り替わると、その後のドラクマの下落により、7兆円くらいの価値に減ります。世帯も企業も2/3の預金(金融資産)を、失うことになります。

給料
給料も、新通貨で支払われますから、ドラクマの下落により実質的に、1/3になります。
月収20万円のマネジャークラスは7万円で、東南アジアの賃金並みになります。10万円の現場労働は3万円なってベトナム並みです。ドイツが工場投資を増やすでしょう。

物価
ユーロからドラクマに変わり、ドラクマが1/3に下落すると、物価や不動産価格はどうなるか?
下がる通貨ドラクマから見れば、1年くらいかけて2倍には上がるでしょう。通貨価値の下落による100%のインフレです。

海外から見た観光料金
ユーロや日本から見た、ギリシアの観光料金は、2/3にくらいに下がると思います。現在は1泊3万円の高級ホテルが2万円です。レストランの料金も2/3でしょう。

ユーロを離脱し新ドラクマに変えた場合、以上のことが想定できます。

デフォルトの事例は多数ありますが、ユーロのような統一通貨から離脱は、歴史上、はじめての出来事です。

◆問題は、ギリシアが決して返せない対外債務55兆円の処理

問題は、対外債務です。

ユーロやドル建てのままなら、新ドラクマで、対外的には縮小するギリシアの経済に対し、対外債務が3倍に大きくなることです。

現在でも払えないのに、3倍になった対外負債をギリシアが払えるわけもない。

破産した企業への、銀行の貸付金と同じです。

貸付金は100億円でも、その実質価値は、不動産担保など回収できる30億円などの価値しかない。

ドイツとIMFが中心になる債権者団は、対ギリシア貸付(55兆円)を70%ヘアカットして、17兆円に減らす必要に迫られるでしょう。

38兆円の損失が、ドイツ、ドイツの銀行、ECB、IMFなどに生じます。

ここが、ギリシアの債務問題の、最終的な、着地点でしょう。

ただしドイツは、こうならないように、ELA(緊急流動性支援)を通じて、ギリシアの銀行への、不足するユーロの融資を、続ける予定と言っています。

ギリシアのチプラス首相は、損をしたくないドイツの思惑を見透かすように、「ギリシアが破産し、ユーロを抜けたとき困るのは、債権者だろう」という発言をしています。

ロシアのプーチン大統領は、「数千億円の負債なら困るのは債務者だ。しかし、10兆円となると困るのは債権者だ。心配いらない。がんばれ」と、左派のチプラス首相を励ましています。

◆7月5日の国民投票

「財政の緊縮策」の受け入れか拒否かを決めるための国民投票は、7月5日です。VAT(付加価値税)の引き上げ、年金のカット、公務員の削減が含まれます。緊縮策は、国民の生活レベルを下げます。

緊縮策を受け入れなかったので、ギリシアへの資金援助はなくなり、支払期限が来る債務から順にデフォルトしていきます。

デフォルトは、貸し手にとっては返済期限の延期と同じです。

追い貸することとも、同じです。(注)ただし、ギリシアの規定では、国民投票の結果は、法 的な拘束力をもちません。政権の支持率のようなものにすぎないのです。しかし、世界は、この結果を無視はできません。

ギリシア政府は、6月30日の対IMFのようなデフォルトを続けるつもりに見えます。

相手の多くは、現在、ユーロの公的な金融機関になっているからです。

◆企業と国家では、デフォルトの結果が違う

返済ができないため企業が倒産すれば、仕入もできず給料も払えず社員も去って、残っていた資産は債権者に接収され、社員も去って、跡形なく消えます。

しかしギリシアという国家は、戦争で占領されない限り、なくなりません。

ギリシアの意思では、おそらくユーロからは離脱しない。

一方、ユーロ側(債権国)には、ギリシアを、強制的に離脱させる手段はないのです。

◆そして、ユーロ離脱・・・

事実上のユーロ離脱が決まるのは、ギリシア政府が、新ドラクマを発行し、国民がそれを受けいれ、国内の買い物で流通したときです。

しかし、ドイツは、ユーロ離脱(新ドラクマ発行)にまでは至らせないために、ギリシアの銀行への、ECBからのELA(緊急流動性支援)は続ける予定です。

VAT(付加価値税)の引き上げ、年金のカット、公務員の削減という財政緊縮策を、ギリシア国民が受け入れなかったという結果になりました。

ドラクマに戻れば、ユーロよりはるかに弱い通貨ドラクマで払われる実質の賃金は、1/2や1/3に下がって、預金も年金も、ドラクマになって上がる物価に対し実質的には減って、貧困になります。
(注)実質=名目金額-物価の上昇

緊縮策が通った場合、緊縮策に反対しているチプラス首相は辞任すると言っていたのですが、これで政権は続きます。

だから、我々の勝利だと言っているのです。

勝利???と思った人は、こういう理由だと考えれば分かりますよね。

◆国民投票の後も、混乱が続く

CDSを発動するデフォルトと認めるかそうでないか
銀行へのELA(緊急流動性支援)は続けるのかやめるのか
債務返済のリスケジューリングに応じるかそうでないか
などをめぐって、YESとNOが入れ替わる混乱が続きます。

最終的な決定は、ギリシアがユーロに残ったまま、対外債務が70%カットされ、残った債務の返済もリスケジューリングされることと考えています。

そして、いよいよ最大の問題は、「 FRBの利上げが9月か12月 」 に移って行くでしょう。

一方、5,000から4,000に下がった中国の株も懸念されています。

これからしばらく波乱の展開が予想されます。

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